田村研治先生

 平成18年に「がん対策基本法」が成立し、各都道府県に「がん拠点病院」が整備されました。日本国民がどこでがんに罹患しても、等しく標準治療を受けること、「がん治療の均てん化」を目標としています。一方、平成19年より、文部科学省は、がん専門医療人材の育成を目的に、「次世代のがんプロフェッショナル養成プラン(がんプロ)」補助金事業を開始しました。現在までに第1期~3期が終了し、令和5年より第4期がんプロが開始されました。

 島根大学は、岡山大学を主管校とする11大学共同で第4期がんプロに申請し、無事、採択されました。採択事業名は、「地域をつなぐ未来世代のがん専門医療人養成」(図1)です。

 11大学は、それぞれの特性をいかした教育コースを開設しています。島根大学では、1)がん専門医療人育成コース(正規課程コース; 医学博士課程大学院コース)と、2)遺伝情報に基づく、ぬくもりのあるがん医療実践者を育成するコース(インテンシブコース; 臨床遺伝専門医、遺伝性腫瘍専門医、認定遺伝カウンセラー等の育成コース. 島根大学、岡山大学、鳥取大学、香川大学共同)を開設しました。それぞれが育成する人材を図2、図3に示します。又、今後、がん専門看護師、がん専門薬剤師、がん専門相談員等を対象としたコースの開設も予定しています。

 第4期がんプロには、大きく3つの課題が設定されています。

(1)がん医療の現場で顕在化している課題への対応を担う人材養成

  • 痛みの治療・ケアのさらなる推進
  • 地域に定着する放射線治療医・病理診断医の養成
  • がん関連学際領域への対応

(2)がん予防の推進を担う人材養成

  • がんの予防医療の推進
  • がんサバイバーに対するケアの推進

(3)新たな治療法の開発を担う人材養成

  • がんの個別化医療・創薬の推進

 島根大学では、この中でも、分子標的薬、コンパニオン診断薬、がんゲノム医療、CAR-T療法、遺伝カウンセラーの育成、腫瘍循環器学、老年腫瘍学、がん生殖医療、多職種・多診療科連携、地域に定着する放射線治療医、病理医の育成に力をいれています。
島根大学は、この事業を通じてがん治療の専門家を育成し、地域のがん医療に貢献します。

中国・四国 広域がんプロ養成コンソーシアム

「地域をつなぐ未来世代のがん専門医療人養成」事業 島根大学代表

島根大学医学部附属病院 腫瘍内科/先端がん治療センター

田村研治

図1
図2
図3